ケープ・ライトのdiary

20170114

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随分遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。

昨年は多くの繋がりが生まれ、さまざまな場所に撮影に呼んでいただきました。すごく有難いことだなと、思っています。

そして本年もよろしくお願いいたします。

今年、ケープ・ライトは設立から12年目になりますが、12年前と今とでは写真やその周りの状況は大きく変わっています。

12年前はすべてフィルムカメラで撮っていたし、インスタグラムもfacebookもありませんでした(唯一のSNSがmixiだった気がします)

12年でぼくたちはデジタルカメラに慣れ、いつしかその便利さが当たり前になり、インスタグラムを使いこなせるようになりました。

ますます写真は誰にとっても身近に、言葉を使わずに通じることの出来る簡単なツールとなりました。
多くの人がそのツールを使い、SNS上で公開されている同じ写真を見るので、「いいね!」を多く獲得している写真が良い写真だという認識に自然となっています。

でも、ぼくたちカメラマンはその写真の価値観にに寄りかかってはいけないな、とよく思います。

インターネットで目にする写真は、斬新さを求められるようになり、その結果、結婚式のカメラマンも常に新しいものを求めるようになりました。
いかに美しく、誰もが見たことのないインパクトある写真を撮るか、ということにチカラを入れている気がします。

新しいものを生み出すのはとても良いことです。
でもそればかりに気を取られていると、根本にある「写真を撮る意味」というものがおろそかになってしまいます。


ぼくの祖母は今年90歳になります。

実家に会いに行くと、よく自分が結婚式を挙げたときの写真を見せてくれます。
もう70年近く前のセピア色になった写真で、台紙は多くのシミで汚れています。写っているのはモーニング姿の祖父と、振り袖に角隠し姿の祖母。70年近く前に撮られた一般的な結婚式の写真です。

でもこの写真が70年近く宝物のように大切にされ、祖父が亡くなったあとも祖母が事あるごとに見せてくれているというのは、この写真の存在の大きさを物語っています。

この写真に写っているのは結婚式の衣裳を纏った若い新郎新婦の姿だけど、祖母にとってはこの写真は結婚してから2人で過ごした50年以上の歳月が見えるのだと思います。
(いつしか写真を見るぼくたちのもその歳月を垣間見ることができるようになりました)


これは写真の持つ魅力だと思います。

パッと見て、その見た目だけではなく、その奥にあるものがじんわりと見えてくる写真こそ良い写真なんだと思うし、写真とは本来そういうものだと考えています。

普段ぼくたちが撮る結婚式や記念写真は、その家族のレキシが写っています。

広告写真やSNSのような見た目の華やかさはないかも知れないけれど、流行りに流されず、写っている人物が本来持つ良さが伝わるような、普遍的な写真をこれからも残していこうと考えています。


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70年近く前の祖父母の結婚式の写真です。今見てもとても良い写真だな、と思います。


河田洋祐

ケープ・ライトのホームページはこちらからご覧いただけます


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こんにちは。
はじめまして。4月からケープライトに仲間入りした、モモちゃんこと古川です。
先日、美容師のみなさんと私たちケープライトで東北プロジェクトと題して、ボランティアと観光も兼ねて宮城県の石巻と気仙沼へ行って来ました。
私はケープライトに仲間入りしたばかりなので未経験でしたが、昨年もこのチームで東北に来ていたそうです。

2011年3月11日、私はテレビにうつる映像を呆然と見ていただけで、なかなかリアルに感じられず私に何が出来るかもわからないまま、またいつもの生活が繰り返されていました。
私も東北に行くことが決まって、「私が行くことで何の役に立つのか?」「被害に会われたみなさんにどんな言葉をかけられるのか?」それと、なんだか「怖い」という思いもあってなかなか気持ちが前に進みませんでした。

でもやっと、何か役に立てないか?と思って募金くらいしかできなくてモヤモヤしていた自分がこのプロジェクトに参加することができました。
東北は怖いところでも遠いところでもなく、出会ったみなさんがとっても近く感じられて優しく出迎えてくれるあったかいところでした。


人生初の飛行機にドキドキワクワクしながら降り立った東北1日目。
この日は美容師チームが中心となって老人ホームを訪ねてカットのボランティアです。

綺麗に手入れされた青々とした田んぼと青空が広がる老人ホーム、のどかで静かな空気が流れる中チョキチョキと髪の毛を切る音とおじいちゃんおばあちゃんやスタッフのみなさんの話し声と笑い声が響きわたって、なんだか心がほわーっとあったかくなって優しい気持ちになりました。

おじいちゃんやおばあちゃんたちは私たちにいろんな話をしてくれました。
老人ホームでの生活のこと、若かった頃のこと、震災の時のこと。
私たちはカメラを持っておじいちゃんおばちゃんとお話しながらゆっくりシャッターをきりました。


2件目は青空カット。
太陽がぽかぽかと照って風が吹きぬけるところ、おばあちゃん達がぞくぞくと集まってこられて次から次へとカットをしていきます。

髪の毛がさっぱりして笑顔も倍増したみなさんを見て、私たちも爽やかな気持ちになりました。




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今回の東北でたくさんの人たちに出会いました。

昨年、お世話になったという食堂「海岸亭」のオーナー、オノデラさんに会いに気仙沼へ。
みんなを「おかえり!」と出迎えてくれて、とっておきの料理を出してくれました。

オノデラさんは私たちに震災当時のこと、それからのこと、私には想像もできないくらいの貴重な話をたくさん話してくれました。



2日目で行った気仙沼での光景は忘れられません。

街は一面津波で家やお店も流されて、家が建っていた跡が残っているだけでした。
ひと気も少なく、観光客がぽつぽつ。
息を飲みました。
言葉がなかなか出て来ません。

地元の人たちの生活があった場所にはシロツメクサが綺麗に咲いていました。

途中立ち寄った復興商店街で働いている人たちは、「1年前とほとんど変わってないでしょ。」と。
私が目の当たりにした風景も、テレビの画面に流れていた光景とあまり変わりありませんでした。

復興することの難しさを思い知らされました。


オノデラさんや復興商店街の方に教えていただいた山に登りました。

山の頂上まで行くと気仙沼が一望できます。
その街にあるはずだった生活を想像するととても辛く悲しい気持ちになったし、そこに家がない違和感や津波の恐怖感を強く感じました。


東北に来る前は「何も出来ないんじゃないか?」と思っていたけど、東北に来ることで地元の人たちと触れ合って少しでも共感して、離れていても思いを寄せることが大事なんだなぁ、ということに気付かされました。

いろんな経験をした東北の人たちはみなさん前向きで明るくて私たちよりもイキイキしています。
私ももっといろんなことと向き合って強く生きていかなきゃな、とたくさんの元気をもらいました。
東北をすごく遠くに感じていた2年間をとても後悔したと同時に、これからはもっともっと心を寄せていきたいと東北をとても身近に感じることができました。



この旅で、心を前向きにさせてくれた東北のみなさんに感謝しています。
両手を広げて待っていてくれたみなさんに感謝しています。
出会ってくれたみなさんに感謝しています。


また来年、「ただいま!」と東北に行きたいです。




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古川百代

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おはようございます。

お正月休みも終わり、すっかり仕事モードになってきました。

じっくり休暇を取ったおかげで頭の中はフレッシュな状態。今年は新たな仕事にもどんどんチャレンジして行きたいと考えています。
今年頑張る為にも、昨年の撮影での忘れられない出来事を綴ります。少し長いですがお付き合い下さい。



昨年は3月の震災後、非常に動揺しました。
ただただテレビの映像を眺めるだけで悲しく、なにもできない自分の無力感を抱え込みました。
(ぼくの実家は95年の阪神大震災で全壊しました。瓦礫の中の生活を余儀なくされて災害の悲惨さはよく分かっていたつもりでも、今回の震災はあまりにも酷すぎました)

震災後、消防士の知人は被災地に何度も派遣されたり、美容師の友人はチームを組んでチャリティーカットをして回ったり、みんな自分のできることで被災地のチカラになろうと懸命でした。

カメラマンはチカラになれるだろうか。写真を撮ることで貢献できることってあるのかな?でも何かやらなければいけない・・・無力感と焦燥感を持って長い期間過ごしました。

半年以上にわたって抱えていたそんなもやもやが薄らぐ日がある日やって来ました。
きっかけを与えてくれたのは、友人の美容師スズキさんの後輩、カイヘイくんとフィアンセ、カンナさんの入籍の撮影でした。

11月11日入籍日の朝、待ち合わせに現れたのはカイヘイ君ただ1人。

「河田さん、じつはまだプロポーズしていないので入籍前にプロポーズして花束渡したいんですよ。」

そんな話があって、僕たちは雨朝、早くから店を開けている花屋を探しました。ようやく見つけた花屋で年齢の数分のバラで花束を作って貰い(この日はカンナさんのバースデーでもありました)
その後、プロポーズする場所を探しました。

「雨が降っているので屋内じゃないとだめかな?」

「でも市役所の中って言うのも人が多いし照れますよ・・」

なんて迷いつつ車を走らせ、ようやく市役所駐車場にある公園のバス停に決定。

これで一通りサプライズプロポーズの準備は整ったのですが、カンナさんとの約束の時間は1時間以上もオーバー。
さすがに大切な日に1時間も遅刻されたら誰だって怒りますよね。

車に乗り込むカンナさんにカイヘイ君は
「ごめんごめん、河田さんが寝坊しちゃって・・」
なんと遅刻したのは僕が寝坊したという理由になっちゃって後の座席からキツイ視線を感じつつ、プロポーズ予定の公園へ到着しました。

打合せ通り、ぼくが隠し持っていた紙袋からカイヘイ君が花束を出してカンナさんに向き合います。
何が始まるのか察したカンナさんのハッとした表情。頬を伝う涙。
普段饒舌なカイヘイ君はゆっくりと言葉を選んでカンナさんにプロポーズをします。
決して視線を離さないふたり。
時間は止まったようで車や雨の音もまったく聞こえてきません。カイヘイ君とカンナさん、そしてカメラマンのぼくの3人だけがこの世界にいるような感覚。

「カイヘイ君頑張れ!シッカリ決めろ!!」
そう心の中で叫びながらぼくのカメラを持つ手は震える。涙がたまる。

プロポーズにカンナさんが応える。カイヘイ君が準備していた婚約指輪をカンナさんの指に差し入れる。
ぼくは夢中でシャッターを切る。

こんな大事な瞬間に立ち会えるなんてカメラマンで良かった。心の底からそう思えた瞬間でした。

ふたりは少し照れた、でもキラキラした表情で市役所へ入籍へ向かいます。
手続きを待つ間、何度も声を掛けてくれました。

「河田さん、ありがとうございます。河田さんにいてもらって良かった。」

その言葉は今でも胸に刻まれています。カメラマンにしかできないことが見えました。この撮影で鮮明に。

2人にとって一生記憶に残るであろうプロポーズ
写真に撮らなければあの瞬間は思い出の中にしか残らなかっただろうし、出来上がった写真は大切に2人のそばに仕舞われて、何度も見返すことになるでしょう。

60歳になっても、80歳になっても

「あの時のプロポーズ嬉しかったわ」

「いやあ緊張した。遅刻してしまってカンナの顔怖かったから~」

なんて話しながら・・


家族の歴史の始まりを撮影出来る仕事、最高です。生きてて良かった。カメラマンになって良かった。
そう再認識できた撮影でした。

カイヘイ君、カンナさんありがとう。

ふたりのおかげで、ぼくはこれからも胸を張ってカメラマンとして生きて行きます。



河田洋祐

ケープ・ライトのホームページはこちらから

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プロポーズの準備は整った。それにしても緊張する!

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カイヘイ君に向けたカンナさんの眼がとても良い

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周囲の雑音が一切聞こえなくなった瞬間。ぼくの眼からも涙があふれた

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「カンナ泣くなや!」って声を掛かるカイヘイ君。この表情大好きだ

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ようやくホッとして

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「一刻も早く入籍しよう!!」

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ついでに貰った離婚届はお守り代わり

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カイヘイ君、カンナさんありがとうございました!!






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2012年初仕事は暗室から。

ここ2年ほどで、ぼくたちの撮影もデジタルが多くなってきた。デジタルだと撮影後色々なアレンジができるし魅力はたくさんあるのだけど、やはり原点はフィルムからの手焼きプリントだと考えている。

静かな部屋に水を流す音と機械のゴォという低い音だけが聞こえる。
この空間はじっくり写真と向き合うことが出来る大切な場所。

今年も丁寧な仕事を続けて行こう。


河田洋祐

ケープ・ライトのホームページはこちらから

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先週デジタルの一眼レフを購入して、これでデジタルカメラは4台となった。

元々ぼくはフィルムで撮影して、暗室で手焼きプリントするのが大好きだった。もちろん今でもそれは変わらない。

プリントされた控えめな発色や粒子が見えるザラザラした感触、何より焼き付けた写真を現像機に入れて完成するまで出来上がりが見れないのでドキドキしながら待つことになる。理想通りの色合いならむちゃくちゃ嬉しいし、期待はずれならもう一度同じ作業をいちからしなければならない。
うまく行かない日は、1日頑張っても10枚しかプリントできなかったりしながらも、1枚の写真とじっくり対話できるのが手焼きの良い所だと思う。

だからといってデジタルを否定する気持ちは全くない。
フィルム交換が不要なデジタル撮影は、無駄な手間がない分シャッターを切ることに集中できるし、現像代が不要なので撮影枚数を気にすることもない。撮りたいと思った瞬間に何枚でも好きなだけ撮ることができる。また、僕が持つデジタルカメラはフィルムでは考えられなかった暗い条件でも撮影可能で、例えば月明かりの下でも鮮明な画像を撮ることができる。それは今までの写真の撮り方を根本的に変えるような画期的なできごとで、フィルムでは不可能だった薄暗い中での雰囲気を生かした写真が簡単に撮れるようになった。

このところ、フィルムの良さとデジタルの良さを生かしたアルバムを作れたら面白いのではないかといつも考えている。

日差しがあるシーンは透明感を生かしやすいフィルムで手焼きして、薄暗い場所はデジタルで雰囲気を生かして。
それで、一日の空気がより伝わる1冊ができるのなら、フィルム・デジタルどちらかに固執する必要はない。

ただプリントを見てみると、やはりぼくは手焼きプリントが一番好きだ。


カワタヨウスケ


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上の2枚はフィルムで撮影した写真。光が十分にある場所では抜群に雰囲気のある写真を撮ることができます。
下の2枚はデジタル。暗い場所でもフラッシュなしで撮影できる長所を生かして撮りました。







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ぼくはプロのカメラマンとして日々写真を撮っています。

プロカメラマンとして大切なもののひとつに、良い意味でもそうでなくても「経験」があって、何百回も撮影を重ねると、労力を使わなくても、光や構図を考えるだけで良い写真は簡単に撮れるようになります。

シャッターを切る度に、良い写真・良い写真・・良い写真・・・

でも、良い写真=心に響く写真ではありません。

良い写真は、見る人を「うーん、良いやん。」と唸らせる写真。

心に響く写真は、見た瞬間、息をするのも忘れて見入ってしまう写真。

そんな違いがあります。

プロカメラマンは簡単に「良い写真」を量産できます。

でも、「心に響く写真」を撮ることができるのは限られた人。

しっかりしっかり全身で感じることが出来る人。

ぼくは心に響く写真を撮るために生きて行きます。


カワタヨウスケ

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美しい写真を撮るのは実は簡単だ。
ノウハウ通りにシャッターを押すだけで、それなりに美しい写真になる。

美しいだけの写真よりも(もちろん美しい写真も大切だけど)、もっともっと心にグッと来る写真があるはずだ。

見る人の心に響く写真を撮りたいと日々思う。



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旅立ちの朝をお父様に報告する花嫁さんの写真だったり


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家族3人のショット。みんな眼がそっくり!



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甘いものが大好きな花婿のお父様の姿や



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お父様そっくりの花婿さんの姿も



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愛車で移動中のショットまで



すべてが結婚式の日の大切な写真です。
改めて気付かせてくれたノブユキさん、ノリコさん、ありがとうございます。


カワタヨウスケ