ケープ・ライトのdiary

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ぼくたちはホームページを見てケープ・ライトを知ってくださるお客様の写真を撮る機会が多くありますが
でも、ときにはそうではなく、結婚式のトータルをプロデュースする会社さんから撮影の依頼が入ることもあります。

この日の撮影は、そんなプロデュース会社さんからの前撮りのお仕事。

ドレスショップの中で結婚式を控えたお二人の写真を5ポーズほど撮るものでした。

梅田の高層階にあるドレスショップは洗練されていて、どこで撮影しても絵になる素晴らしい空間。
これまで何度も撮影をさせていただいた大好きな場所です。

ただ、いつものぼくたちと進め方が違うのが、花婿さん・花嫁さんと会うのが撮影の時が最初だというところ。
被写体となるおふたりの人となりを何も知らないまま(おふたりも僕たちのことを当然のことながら知らない)
撮影を進めなければいけないところに難しさがあります。

この日の花婿さんは60歳。花嫁さんは55歳でした。

撮影の前にご挨拶をした時、花嫁さんは

「こんな年に取っててごめんなさい」

なんて仰っていました。

でもそのお顔は普段結婚式の撮影をする花嫁さんと何ら変わっているところはありません。
キラキラした眼、柔らかな素材感のドレスを美しく着こなしていらっしゃいます。

撮影はすぐにスタート。

三脚と大型ストロボを使い、じっくり撮ります。

カメラを向けた時のおふたりの表情は固い・・
写真が苦手な方は20代のお客様でもたくさんいます。でもふたりとも緊張感にあふれ、表情が変わりません。


少し戸惑い、考えました。


そして撮影の順序を変え、窓際で2人の後ろ姿を撮影することにしました。

「この写真はお顔が写らないので安心してくださいね。ゆっくり外の風景を見ていてください」


まだ撮影は終わっていなかったのですが、何枚か撮った後26階からの風景に眼をやりながらおふたりと話をしました。

「きょうは雨だと思っていたのに晴れてますね」

「風が強いから六甲山が綺麗に見えますね」

「あれが六甲山ですか?じゃ私たちの家はあのあたりかもしれない。西宮なんですよ」

「ぼくたちのアトリエも西宮です!一緒ですね!」

「そうなんですか。ご近所さんですね!!」

景色を見ながらの会話はどんどん盛り上がってゆきました。


撮影はそれから3ポーズ撮りましたが、徐々にふたりの表情は良いものになってきました。

ちょっとした合間に色々と話もしました。

「このドレスの質感素敵ですね!」
(羽毛を思わせるふわふわした質感のドレスでぼくたちも初めて見て「すごい!」と思いました)

「そうでしょ。もう一目惚れだったんですよ」

「旦那さんの衣裳、ベストが爽やかで良いですね」
(旦那さんの衣裳は白の麻素材のスーツにオレンジやブルーのチェックのベストだった)

「ありがとうございます。ありきたりの真っ白じゃないのが気に入っているんですよ」

最初はぎこちなく無理に笑っていたものが、段々と柔らかい表情になってきました。



おふたりの表情通りの柔らかい雰囲気で撮影は終了。


その後、撮影をした画像をお客様と見ながらお渡しする写真を決めて行きます。

撮影を終えて、おふたりは更に柔らかい表情になっていました。

「旦那さん、私服も格好良いですね!」

「でしょう、ロンドンバスとタクシーがモチーフなんですよ」

「でも今日新しくおろしたので、タグを切ってくるのを忘れてしまっていて・・・」


1時間前に初めて顔を合わせたとは思えないほど、ぼくたちは打ち解けていました。

写真は選びきれないな・・なんて仰いながらもじっくりと見て下さいました。

「撮られている間はあっと言う間でした。夢を見ているような気もした・・すごく楽しかったんです
今写真を見ているのも夢の続きなんじゃないかと思います」

そう花嫁さまはつぶやきました。

その言葉を聞けるのはとても嬉しいことです。

最初は「私で年取っていてごめんなさい。」なんて仰っていた花嫁さまでした。

すごく遠慮がちだったのに
夢を見るくらい楽しんでいただけて(しかも今も冷めていない・・って思って貰えるなんて・・
それは20代の花嫁さんが抱くものと何ら変わらない感情です。
表情だって、眼のキラキラだって美しさだって20代の花嫁さんに何ら負けていませんでした。

ウェディングドレスはどの女性にとっても憧れのものだし、幾つになって着ても、着た人をシアワセにするチカラが
あるのだと感じました。

写真を撮りながら、少しずつだけどこわばっていた表情が柔らかくなって行ったのも嬉しい。

カメラマンがただ「笑ってください」「もっと笑顔で!」と注文を付けても、被写体から良い表情は決して引き出せません。
ゆっくり話をして共感して、安心してもらって、ようやくその人らしい表情があらわれるものだと再認識しました。

カメラマンの原点を、そして花嫁さんの原点も知った撮影になりました。

ぼくらは日々、撮影のたびに迷ったり戸惑ったりして仕事を進めています。
そこで発見したことは大きな財産となります。

きょうは多くのことを気付かされる貴重な撮影になりました。

ありがとうございました。


河田洋祐

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