ケープ・ライトのdiary

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今はカメラ=デジタルカメラが当たり前の時代ですが、ぼくがカメラマンのアシスタントをしていた20年前、撮影の現場ではフィルムカメラしかなかったし、その中でも商品の撮影などには4×5(シノゴ)という、とてつもない古い原理のカメラを使っていました。

ざっくりと書くと、ボディーは2つに別れていて、手前にはピントグラスとフィルムを装填する部分、奥にはレンズとシャッター部分。この間を光が漏れない筒のようなものでつなぐ。ただそれだけのものでこの原理は200年前に写真が発明されて大きくは変わっていないんじゃないかな、って思う。

要はレンズを通った像が上下左右反転されてピントグラス面に移り、撮影者は上下左右反対の風景を見て構図を決めピントを合わせ、明るさ(露出)を決め、よっこらしょ、とフィルムを装填する。そしてシャッターを1枚押すと、はがきくらいの大きさのフィルムに像が焼き付けられるというしくみ。

今はスマホでみんな写真を撮るけれどさっとポケットから取り出してシャッと撮るのと対局にあるのがこの4×5のカメラだと思う。
(違いは数え上げればきりがないが、スマホは電池の残量を気にしなければいけないけれど、4×5はそもそも電池すら使わない。)

ぼくはときどき、ウェディングの撮影で(頼まれもしないのに)この4×5というとにかく面倒なカメラを使う。
時間がない現場はもちろん持っていけないんだけど、じっくりと時間があるロケーション撮影でフィルムが好きなお客さまのときはこっそりと・・・


撮影が始まってこのカメラを使うと、それはもう盛り上がるんです!

「なんですかーその古いカメラ!」

「昔の写真館で見たことがあるような」

「どうやって撮るんですか?」

そんな声が上がって、本番の撮影までにカメラのレクチャーがはじまります。なにより実際に見てもらうのが一番。暗幕を被ってもらいピントグラスを見てもらいます。

「うわ、さかさまや!なんで?」

「すごい、3Dに見える!!」

いい感じのリアクションが返ってきます。
実際ピントグラスを見てみると、被写体が浮き上がって見えてきて、この見え方が抜群にキレイなんです。


みんなのテンションが上がって楽しい現場ですが撮るのは大変。

暗い室内だと2秒位シャッターを明けておく必要があるので被写体になる人はそのあいだじっとしてなくてはいけません。

でも、明治維新の頃なんで、もっと長い時間シャッター空けていました。たとえば20秒。その間撮られる人はずっと動かず、瞬きもせずカメラを見なければなりませんでした(その時のために頭を押さえる器具などもあったようです)

だからぼくは被写体となるお客さまに言います「坂本龍馬知ってるでしょ?坂本龍馬はね、写真を撮られる時、20秒は動かなかったんですよ。だから2秒、頑張って息止めてくださいね。」なんて。

そんな話をすると男はほぼ明治維新の英雄になれます。花嫁もその時代の良き妻に写ります。
2秒間じっとしなくちゃいけないので、笑顔の写真にはならないんだけど、二人がカメラを見る真剣な表情も素敵。
このカメラでしか撮れない写真を撮っていこうと思います。

フィルム面積(デジタルで言うところのセンサーサイズ)がハガキ1枚分くらいの大きさがあるので、とても繊細な写真を残せるのがこのカメラの魅力です。そしてカメラマンも撮られる人も「さ、撮るぞ!」と、デジタルより写真を撮るという行為の重みがまるで違います。

ぼくたちはデジタルのオートフォーカスを仕事で使うようになり随分便利になりました。メディアは入れ替えなくても何百枚も撮れるしピントや明るさはカメラに頼ることができます。出来上がった画像もその場で確認できるし、感度もグンと上げることだってできる。

その一方、4×5カメラは、撮影時に明るさを事前に測ってレンズで設定をする(シャッタースピードと絞りを決める。)。ピントをルーペを使って合わせる、構図を決める。フィルムを装填する、シャッターをチャージする、ようやくすべて整ってシャッターを切る。

もう、むちゃくちゃたくさん、やらなくてはいけなくて、これは以前は当たり前のことではあったんだけど、今ではぼくでも忘れてしまっている手順です、だからこそ、初心に帰る意味でもこのカメラを時々持ち出します。このカメラを使うと1枚のシャッターの重みを主知ることになるのです。

次に4×5を使うのは来年に入ってからかな?使い方を忘れないように、時々手入れをしつつ少しでも日々触って行こうと考えています。

そう、4×5カメラをみたい、触ってみたいとお考えの方はお気軽にご連絡くださいね!!


河田洋祐

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